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浄照寺のブログ
こばなし

インターネットで「ちょっと法話?」

「聞法」(もんぽう)という言葉があります。
仏教で伝えられる教えを、色々な法話などをとおして「聞いていく」ことが大切である、という意味です。
浄照寺は「真宗大谷派」(本山=京都・東本願寺)という宗派ですが、特に私共の宗派では、この「聞く」という行為がとても大切にされます。
お寺はその為の場所であり、空間であり、また「聞法道場」(もんぽうどうじょう)という言葉で表現されます。そして、「皆さんで一緒に講師の方からのお話を聞きましょう」と呼びかけております。

しかし、それがなかなか難しいのも現実かもしれません。

「そういうお話が聞きたくても忙しくて行けない」
「お寺は敷居が高くて行きづらい」
「檀家ではないから行ってもいいのか迷う」

そんなお声も耳にしました。

そこで浄照寺では「ホームページでちょっとお話、みたいにできないか?」と思いこのページを作りました。
堅苦しくなく、「小話(こばなし)」風に書いています。
時々、仏教の事から話が脱線するかもしれませんが、そこはホームページ上のご愛敬ということでご容赦を…

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 vol.3 … 『家族になるということ』

11月に入り、段々と冷え込んできました。
雪国の新潟ではもうすでに「雪囲い」が始まっています。これは庭や屋根等の屋外のものが雪の重みで倒れないように気の板や丸太などで囲っていくものです。あ、そろそろ車のタイヤもスタッドレスに替えなくちゃ…

さて、今回の「こばなし」は


『家族になる』というテーマです。


私には妻がおります。今、日本の寺では色々な宗派がありますが、多くの寺院で家族を持つお坊さんがいらっしゃいます。
私共、真宗大谷派の開祖である親鸞聖人も恵心尼という奥様がいらっしゃいましたし、四男三女のお子さんもおられました。

『家族を持つというのは、
 ポケットいっぱいの幸せとリュックサックいっぱいの苦労を背負う事だ』

という言葉を聞いたことがあります。
一人よりは檀那さんや奥さんがいたほうが楽しいですし、子供がいたほうが賑やかで生きがいにもなります。
しかしその一方で所帯を持つというのは経済的な負担もたくさん抱えていくことでもあります。当然働かないと食べて行けないですし、住居の維持だってお金が必要です。子供ができれば食費も増えるし病気になれば医療費だって馬鹿になりません。
年老いて行けば介護も必要になるし、下の世話や入浴、食事の世話もかなり大変です。家族が増えるというのは、なるほど、確かに苦労も増えていくことなのですよね。

話は変わりますが、私は先日、少しつまずいて転倒して右足を怪我してしまいました。しかもじん帯を痛めてしまい、テーピングをしているので歩くのにとても不便です。
当然右足をかばうように左足には負担がかかります。また、立ったり座ったりする時は両手で支えないと動作が困難です。だから怪我をした右足以外はフル活動で働きます。

しかし、かばうほうの左足は文句は言いません。
両手だって文句は言いません。


家族もこういうものなのではないでしょうか。


ご主人が体調崩したりダメになったら奥さんが支える。
奥さんがダメになったらご主人が支える。
二人ともダメになったら親や兄弟が支える。
家族だけで解決しない時は親戚が支える。

これはまさに、先ほどの「怪我したところをカバーして行動する人間とその手足に」見習うところがあります。
手や足ですら文句を言わないのに、私達は疲れるとすぐに

「なんで自分がこんな事しなきゃいけないのか」
「なんでウチだけこんなに大変なのか」
「もっと○○だったら楽なのに」

と言ってしまいます。
しかし「家族」というのはまさに一心一体。
一度家族としての絆を結んだら、例え這いつくばってでも、恥をかいても、泣きたくなっても最後まで支えあう。
まさに「手となり足となり」助け合う。これはキレイ事ではなく、まさに命がけの支えあいです。
それが「家族になる」ということなのではないでしょうか。

動物にも親子の情はあります。親鳥はヒナにエサを捕ってきて与えます。
しかし「親戚」とか「血縁」という概念はおそらく人間以外の動物には
ありません。
親戚付き合いとか親族の交流は時には面倒くさいと感じられることもあるでしょう。しかし親子や夫婦以外の交流を絶ってしまっては動物と同じではないでしょうか?人間ならではの絆やつながりを結ぶということはとても大切であり、私達人間が築く「家族」というコミュニティはとても素晴らしいのだと思います。



 

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